秘密 himitsu 真実 shinjitsu

もちろん夜中に読んではもらえるはずもないし、今日の明日なんてムリだと思ってた。
でも記念の日に、前回取り下げた「普通のお出かけ」ができたりしたらいいな、と思ったのだ。
うん、楓の言い訳じみたまどろっこしい書き方も良くなかったのかもしれない。
翌日もらえたお返事は、予想もしていなかったほど冷たいものだった。

きっと疲れているところに、タイミング悪く送ってしまったんだね、楓ったら。
楓と違って寝つきの悪い彼にとって、夜中のメールは本当に迷惑だったのだろう。
不機嫌な顔が目に浮かぶ。
今までも何度か深夜に送ったこともあるし、そんなことがあったのかもしれない、
そう思うと悲しくなって、危うく家族の前で涙を流してしまうところだった。

起こしてしまってごめんなさい。もうしません。
急いでトイレに駆け込んで、泣きながら短いお返事を送った。

時間が不規則な彼は、朝だって昼間だって眠っていることがあるだろうし、
仕事中につまらないメールが邪魔をしてしまったこともあるんじゃないだろうか、、、
そんなことを考えたらキリがないのはわかっているけれど、考えれば考えるほど、
メールを書くのが怖くなってしまった。

いつもなら、そんなことがあっても彼は、翌日には何もなかったようなメールをくれるのに、
今回は、それきりいつまでたってもお返事をくれない。
１日待って、勇気を出してもう一通送るけど、お返事はナシ。
さすがに3～4日では心配しなくなったけれど、あんなメールの後だし、まさか、ね？
ううん、ずっと怒っていたりはしないだろうし、きっと忙しいだけなんだ、と思い直すけど、
逆にもしかして何かあったんじゃないか、などと思い始めて我慢できずにまたメールする。
やっぱりお返事はもらえない。

きっと彼はイジワルをしてるんだ、と思い始めると、今度は自分が情けなくなってくる。
２周年だから、なんて勝手なことを考えたバチが当たっただけじゃない。
諦めて「楓はけっこうコタエてるんだよ」と送ったら、ようやく彼がお返事をくれた。
「明日の昼間は時間あるの？」

やっぱり彼はイジワルすぎる。