秘密 himitsu 真実 shinjitsu

昨夜、楓はご主人様に、おやすみなさいのメッセをしませんでした。

毎晩どんなに短くても、ご主人様に楓の存在を知っていただきたくて送るメッセです。
ご主人様の目に触れるのがいつかはわかりませんが、楓は送るだけで安心するので、
「好きなだけ書いていい」と許していただいたのをいいことに、
ご主人様のご迷惑も考えずに送らせていただいているのです。

それをお送りしなければ、「おや？」とくらいは思っていただけるのではないか・・・
それで日記を覗きにいらしてくださるのではないか・・・
そんな浅はかなことを考えたのでした。

そしてここに日記を綴り・・・もちろん嘘の気持ちなど書いてはおりませんが、
ご主人様がお読みになって、情けをかけてくださればいいのに、と思っていました。


ご主人様はやはりそんな楓の薄っぺらな考えはお見通しなのでしょう。
今日もお話していただくことは出来ないようです。
いえ、そんな楓の悪あがきには、気づいてすらいただけないのかもしれません。



楓はどうすることもできません。
ご主人様の気まぐれを、お待ちするしかありません。
気づいていただけないからといって、どこかに行くこともできないのです。


だって楓を助けてくださるのは、ご主人様しかいないのです。

震えるカラダを押さえつけ、串刺しにしていただくよりほか、方法はないのです。



小難しいことを考えられるような頭ではありません。

楓を玩具にしていただけるなら・・・ただそれだけが望みなのです。