秘密 himitsu 真実 shinjitsu

その日、遠方からのお友達と泊まるから、という口実で
オフ会の後、こっそり彼とお泊りできないかな、と考えた。
彼女も協力してくれる、というから、つい自分勝手な妄想計画を膨らませる。
どうせ朝までしかいられないのだけれど、彼の胸で眠れるだけでいいと思った。

ところがさっそく彼に相談したら、最近忙しい彼からは、約束できないな、と言われてしまった。
そこで一度は諦めたのだけど、どこかで「もしかしたら？」と思ってもいたんだ。

だから前日、「お泊りするかも、って話はどうなったのかな？」ってメールをもらった時は
時間を作ってくれたのかな、と思って、うれしくて飛び上がりそうだった。
それなのに、ちょうど朝から不機嫌になる出来事が続いていたせいもあって、
楓はとてもイヤミなメールを返してしまった。
（お泊りしないと思う、と家族に言ってしまっていたということもあるんだけど）
　
　この前、聞いたつもりだったんだけどスルーみたいだったから、無理なんだと思ってた。
　○○さんのご都合次第ですけど。

送ってから、すごく嫌なメールだと思った。
案の定、なかなかお返事は来なくて、午後になってもらえたお返事には、
楓が数日前に確認のつもりで送った（スルーされたと思った）メールの意味がわからなかった、
というようなことが書いてあった。（それも楓の書き方がいけなかったんだ）
だけどやはり時間を作ってくれるとは書いていなくて、楓はイライラしてしまった。

　結局、よくわからないんですけど。

イライラしてしまったのは自分自身に、だったのに、完全に八つ当たりだった。
楓はもっとイヤなメールを送りつけてしまった。
どうせダメなんだ・・・すごく嫌な気持ちで、悲しくて、どうでもよくなった。
いや、どうでもよくはなくて、すぐにお詫びのメールを送る。

　イヤな言い方をしてごめんね。
　明日のことは気にしないで下さい。
　お友達もいるしね。

ほら、またひと言多い。
夜になって、もう一度メールをして、（努めて普通に書いたつもりだったけど）
ようやく来た彼からのメールにはこう書いてあった。

　明日はお友達と楽しく過ごしてください。

やっぱり怒ってるんだ。
自業自得だけど、とっても悲しい一日になってしまった。