秘密 himitsu 真実 shinjitsu

忙しい日が続いていたようだから、ゆっくりマッサージしてあげたかった。
ソファに寝そべって投げ出した足もだけれど、今日は狭い車内ではできない背中もね。

お風呂でゴシゴシしすぎたのか、首の後ろが赤くなっちゃったので、
オイルをつけてナデナデ。
そのまま広い肩、大きな背中をマッサージ。
子どもの頃は、よく祖父や父にしてあげてお小遣いを稼いだものだけど、
最近はたまに母にしてあげるくらいだ。
だけどしてあげることは、嫌いじゃない。

気持ちいいよ、と言ってくれると調子に乗って、たっぷりしてあげたくなる。
以前、親指の付け根を痛めたことがあるので、ちょっと不安で手のひらと交互に使ってみる。
こうすればけっこう長時間できるのかも、なんて一人で納得しながら力をかける。

こういう背中って好き。

オイルをつけるとマッサージをする方も気持ちいいんだね。
なんだか楽しくて、不思議と飽きなかった。
いつまででも触れていたいと思うのだけど、時間が気になり始めてしまった。
嫌な性分だな、と思いながら、せっかくのんびりしている彼に、そろそろ、と伝える。
彼は1時間くらい勘違いをしていたみたいで、もうちょっといじめてくれるつもりだったらしい。
悪かったなぁ、と何度も言ってくれるけど、全然悪くなんかないよ。
だって、気持ちいいこともしてほしいけど、今の楓にはこんな時間が楽しいのだもの。


最近はお仕事が忙しいらしく、初めのころと比べると全然かまってもらえない。
メールも丸一日来なかったりすることもあるけど、一時期のように心配したりはしない。
いや、正直を言えばやっぱりちょっと心配で、メールしてしまうこともあるのだけれど、
たいていは疲れて眠っているだけ、らしい。　（ほんとかしら？笑）

疲れた背中をゆっくりマッサージしてあげて、寝息が聞こえたら寄り添って眠る。
そんなことが普通にできたらいいのにな、と思う夏の日。