秘密 himitsu 真実 shinjitsu

「○○する？」
帰りに寄り道コースで遊んでくれるときの懐かしいひと言メールが飛び込んできたのは
夕方というよりはもう夜になってからのこと。
楓は、悩む間もなく　「うんうん♪」
「じゃあ○時に」
という確認に、「ありがとう＾＾　大好き」とだけお返事をして、時間が過ぎるのを待つ。

なんだか本当に初めの頃に戻ったみたいだった。
いや、そこまで急激にのめりこむ感じではないのだけれど、とっても新鮮で、温かくて。
やっぱり彼のことが大好きだなぁ、って思いながら、懐かしい待ち合わせ場所に急ぐ。

ほんとのことを言うと、あれから1度だけ、そこに行った。
というか、1度しか行かれなかったんだ、悲しすぎて。
だから近づくだけでちょっと緊張したし、彼の車がまたそこにあるだけで涙が出そうだった。
またここに来れてよかった、ほんとに。

ちょっと迷って助手席側に回ると、彼が後ろの席を示すので、後ろのドアを開けて乗り込む。
「こんばんは～」なんて間抜けなご挨拶をして荷物を前に置いて、
忘れないうちにと、ちょっと前に買っておいたハロウィンのクッキープレートを渡す。
うん、とか、あとで食べる、とかくらいは言ったかな、彼。
いつものように体を小さくして、前のシートの間から後ろの席に渡ってくると、
楓が抱きつく間もなく、まだ上着も脱いでない楓のシャツを捲り上げるのだ。

え？え？
まだメガネも置いてないし、せめて上着だけでも、、、と投げるように助手席に置いて、
あとは何が何だかわからないうちに、されるがまま、させられるがまま。

ドキドキしながら自転車を走らせて、まるでウブな気持ちで、きっとまた少しずつ、
そう、今日はきっとウォーミングアップ？　くらいの気持ちでやってきたのだけれど、
まったくそうじゃなかった。

ウォーミングアップなんていらないんだ。
目指してるのは、あの先なんだ、ってことを、彼は楓に叩き込もうとしたのかもしれない。